Harmonie "Diary" Chromatique

Harmonie Chromatiqueの日記帳です。

これからの同人社会と、表現の自由、そして未来に向けた学び

通常の西側社会(アメリカとか西欧とか)の文脈でいえば、表現の自由は数ある自由のうち最も重要なものの一つであって、規制は最小限度でなければならない、という前提があります。
アメリカ(というか英米法社会)とドイツ(というか大陸法社会)の間でもアプローチが少々異なりますが、一応ここまでをベースとして話を進めます。

2011年、M3準備会のスタッフ*1が3つのサークルを名指しして、社会に対して追放を呼びかけたという事件がありました。このアクションに対してM3準備会の公式表明がなかった結果、多くのサークルがM3スタッフの発言を真に受けて、結果名指しされた3つのサークル中2つが引退状態に追い込まれています。すなわち、彼女の行為は表現の自由に対する弾圧として機能しました。
私自身は個人的にM3準備会の上層部とお話をさせていただき、M3準備会の少なくともトップはこのアクションを是と考えていないことを「あくまで個人的に」知っています。
ですが、名指しは公開で行われた一方、M3準備会の否定は公開では行われていません。なので、M3準備会はこのアクションを真剣に止めようとしてはいない、という評価をせざるを得ません。

私が現時点で知る情報として、以下の事実を指摘しておきます。

  • 彼女は当時、公開でのアピール以外にも非公開で多数のサークルに対して同じ呼びかけを行っていたようです。現時点で呼びかけられたサークルの特定には成功しておりませんが、本人が非公開での呼びかけを行ったことを認めています。結果、公開での呼びかけを補強する効果がありました。
  • 2014年末現在においても彼女はこの行動を正しいと考えており、騒ぎになったことは後悔しているようですが、当時の行動が間違っていたとは考えていないようです

私自身は彼女の行動を許すつもりは永久にありませんし*2、M3準備会がこの行動を食い止めなかった、つまりM3準備会として表現の自由への弾圧行為を是としたことは永久に*3認識し続けます。
なのですが、問題はこの先。この手の言論弾圧、本当にM3準備会が起こした事案が最初で最後になるのでしょうか?むしろ、他の即売会でも一般的に起きることになる事案がM3で先陣を切って起きただけの話なのでは?という懸念があります。

私自身、明確な即売会への脅威やルール違反が存在しないのに、即売会上層部が気に入らないと考えるだけの理由で特定のサークルを排除しようとした事案をいくつかのルートから非公式に耳にしていますし、そのうち1つはきわめて確度の高い情報(デマやプロパガンダではないと考えられる)でした。表沙汰になったのはM3準備会が初めての事案だったとしても、裏ではそこそこ起きているのではないでしょうか。
コミックマーケットでさえスタッフが特定のサークルを名指しして「出入り禁止」と形容している風景は何度も見てきました。*41つのサークルに対してはサークル参加不可の規制がかかっていることが公知になっていますが、その他のサークルに対してもスタッフレベルではこのような話が出ています。*5

私自身の見解として、今後は単に「スタッフにとって気に入らない表現者だから」という理由だけで表現の場が奪われかねない社会になる可能性は高いと考えます。
さらには、社会的な「空気」がスタッフのそのような判断を強いる可能性もあります。単なる同調圧力だけではなく、同調圧力が「特定のサークルを追放しない即売会への不参加/非協力運動」や、「特定のサークルを追放しない即売会へ参加するサークルへの不買/非協力運動」といった形で実質的に即売会にとって悪影響をもたらすような運動に繋がる可能性も低くありません。
私自身の一連の問題が解決した昨年においても、私としばしば企画でご一緒するサークルに対して「あかみと関わるべきではない」という形で圧力がかかった事案がありました。この手の事案が未来において拡大し普遍的にならないという保障は現状で一切ありません。*6

では、逆にこのような形で表現の自由が破壊されつくした社会において、どのような同人活動が可能か。先人たちの歴史に学ぶこともできる、と考えています。
たとえば、ショスタコーヴィチはソヴィエトのスターリン主義社会*7において表現活動を展開していました。交響曲第4番は粛清を恐れてスターリン時代には封印せざるを得ない作品でしたし、「森の歌」はスターリンを礼賛するオラトリオ*8でした。

幸い、現代日本には、ソヴィエトの情報組織(GRU)とも縁の深い同人活動者がいらっしゃいます:声優のジェーニャさんノヴォシビルスク出身な彼女はかつてコミケにも出ていた記憶がありますし、即売会で時々お顔を拝見します。彼女の父親は、ソヴィエト時代にGRUの特殊部隊(スペツナズ)の中佐でした。
もし現代日本がスターリン支配下のソヴィエトと同等の表現規制が(民間ベースで)かかる時代になったとしたら、同人活動はどのような形で展開されうるのか?を学ぶとしたら、ジェーニャさんは最適任の方ではないでしょうか。

*1:彼女がM3スタッフであったことは公知の事実だったと認識しています

*2:もちろん彼女自身が行動の誤りを認めて公開謝罪すれば話は別ですが、おそらく永久にそうならないでしょう

*3:こちらはたとえM3準備会が公開謝罪したとしても教訓として永久に語り継がれるべきです

*4:で、当該サークルがきちんとサークル参加していたりするわけです:マネジメント層が今のところ正常に機能していることの一つの証左

*5:ただし、ジャンルローカルの出入り禁止リストによって実際にサークル参加ブラックリストの運用が行われている、という噂もありますが、こちらは単純な抽選落選との区別が難しいので現時点では証拠不十分として扱っています

*6:むしろ、今後深刻化していく可能性が高いと思われます

*7:ソヴィエトは同人とは桁の違うレベルで表現の自由が破壊されていました:スターリンに睨まれたらシベリア送りや秘密処刑がありえた時代です

*8:クラシック音楽の伝統に従えば、スターリン賛美のオラトリオが存在するという事実はスターリンと三位一体の神=キリスト教における神/イエスキリスト/精霊を同格視したことになります

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